大倉山記念館
2011年 03月 07日

先日所用で訪れた横浜市大倉山記念館。
実業家で東京大学学長をも務めた大倉邦彦(1882-1971)により
昭和7年(1932)「大倉山精神文化研究所」として創建されました。
設計を手掛けたのは長野宇平治。明治期の古典派建築の代表的な建築家、辰野金吾の
弟子であり数々の銀行建築などを手掛けて近代建築史に名を残した人物である。
その長野の最期の集大成ともなった作品がこの研究所である。
重厚で格調高いファサードはもちろんのこと、長年の集大成としての想いの詰まった高密
で破綻の無い周到にデザインされた建物であることがわかる。
ギリシャ神殿風の正門を中心としてシンメトリーに構成された古典派建築の文脈をを踏襲
するものであるが、この建物の遊び心といおうか、他と違う特徴的な部分はその塔上の列
柱にある。
柱が上端にいくほど太くなるという、古代ギリシャ以前の「プレヘレニック様式」を採り入れ
た世界でも希少な様式を残している。

エントランスホールより天井を見上げる。

この建物は会議室と図書館、大小のホールからなる。ホールでは定期的にコンサートも
開催されているようなので、建築見物がてらに音楽を楽しむのもよい。
また大倉山は梅や桜の花見としても有名。今は梅が満開である。
そして麓の商店街は町興しの一環として、商店街のファサードを古典建築に見立てて、
列柱をモチーフにしたものが多数見受けられる。
この記念館が大倉山の象徴として、地域住民に愛されている憩いの場所であることが
よくわかる。
週末の散策に訪れてみてはいかがでしょう?
菅原浩太建築設計事務所 菅原浩太
by kamakura-archi
| 2011-03-07 14:19
| 神奈川名所旧跡案内